晴れていれば、手の届きそうな距離に思える山頂も、ガスってて何も見えない。
あとどれくらいで山頂なのかも、まったく距離感がつかめない。
ただ、足を取られていた砂礫の登山道も、いつしか他の登山道と同じくゴツゴツとした岩場になってきた。
頂上は確実に近づいているのは確か。
徹夜の登山も不思議と眠くはならず、ただ登り進めて行くことに没頭していた。
あれから何時間が過ぎただろう?すぐ上に鳥居らしいシルエットが見えたような気がした!
「着いた!」
御殿場口の山頂部「銀明水」に着いたのだ。時刻は3時になっていた。
登り始めて11時間・・・こんなにかかった自分に驚く。
御殿場口山頂には山小屋も何もない。一番賑わっていて御来光が拝める富士吉田口&須走口山頂の
山小屋が密集しているところへ行くには、少しお鉢を移動しなければならない。
富士の火口を時計で表すと、5時の方向から2時くらいのところまでの移動。
しかしここで濃霧のピークを迎えてしまった。ホワイトアウト寸前!
お鉢は何度か回ったことがあるから、大体はルートはわかるが、それでもまったく道がわからない。
他に誰もいない。真っ暗で真っ白な山頂。これはさすがに恐怖だった。
お鉢を巡ったことがある人はわかると思うけど、この間の移動はちょっと狭く危険な箇所がある。
左手に深さ200mの火口。右手には3,000m続く斜面があるのだから。
1歩1歩、恐る恐る歩みを進めて行くしかない。目の前に突然柵が出現しては、その先は道がなかったりする。
ガスで見えないんじゃない、そこに道がもうないのだ。その都度後ずさったり・・・
そんなことを繰り返し、ようやく山小屋の灯りと人の声が聞こえてくると、ホッとした。
やっぱり大勢の登山客がいる。天気予報も悪かったので、比較的少ないとは言え混んでる。
山小屋もオープン前だったので、ベンチはほとんど空きが無かった。
写真のように見事にガスの中。ここ数年晴ればっかりの富士登山だったから、ちょっと残念という思いもあるけれど
悪天候の写真もありかな?なんて思ってたので、納得できた。
高校の山岳部で登った時以来の悪天候。あの時は山開きの7月1日。山頂は吹雪でしたからそれよりマシ。
午前4時前、山小屋のオープンとともに人の流れに押され、自分も山小屋へ。
温かい食べ物を口にしたかったので、とん汁(800円)を注文。ひとときの安らぎを得ました。
日の出まで、あと30分くらい?・・・「って、絶対見える訳ない!こんなガスの中で!」
御来光はキッパリ諦め、またもやガスの中、来た道を戻って剣ヶ峰(3,776m)を目指すのであった。
つづく・・・
<Canon EOS 5D + EF24-105mm F4
L IS USM>
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800円のとん汁
<Canon EOS 5D + EF24-105mm F4
L IS USM>
ここは剣ヶ峰手前の富士宮口山頂
最後の心臓破りの坂。日本の頂点へつづく。
霧に浮かぶ測候所
もう日の出の時刻は過ぎている午前5時。
ついに剣ヶ峰に立つ!