誰もいなかった東天狗の山頂も、たくさんの登山客で賑わいだした。それほど長く居座ってしまったんだろう。
夜会に間に合わなくなってしまうので、さっさと下山方向に向かわなくては。
と言っても、同じ道を戻るのは性にあわない。予定では天狗岳から縦走して、北八ヶ岳と南八ヶ岳を分かつ「夏沢峠」まで
行ってから本沢温泉に下りたかったけど、時間的な難しいようだ。
天狗岳と根石岳の間に白砂新道への分岐があって、そこから本沢温泉に下りるルートがあるので、今回は夏沢峠は諦めだ。
この白砂新道、下るや否やザレた斜面と不明瞭な道に少々手こずった。でもなんとか道迷いせず、樹林帯に進むことができた。
ここも相変わらず人の気配はなく、熊との遭遇だけは避けたいと思いながら歩いていると、突然黒い毛むくじゃらと遭遇した!
一瞬ビクッ!と立ち止まる。
それは黒いニット帽と黒く毛足の長いフリースの全身マムートおじさんが地図を見て立ち止まっていたのだった。。
「紛らわしい格好してんじゃねーよ!」と心で思いながら、話しかけられたので会話をすると、このルートを通って天狗岳に
向かいたいと言う。しかし歩けども歩けどもなかなか辿り着かないのだそうだ。
今自分が下りてきた道の状況と、おじさんの疲労度、今までの歩行時間とを加味して、引き返すことを進言した。
そうすると背中を押して貰ったかのように、喜んで引き返すという(笑)
本沢温泉に泊まる予約をしていて、日本最高所の野天風呂の料金もすでに払っていると言う。
だからこれから温泉に向かって引き返すんだそうだ。やれやれ、山で全身真っ黒な格好はやめた方がいいぜ・・・。
おじさんを追い抜き、稜線から45分程で本沢温泉に到着。野天風呂に入る時間はないが、どんな場所にあるのか見ておきたい。
本沢温泉からは5分程登ったところにある。沢沿いの斜面にあり、辺り一面硫黄臭い。爆裂火口を見上げる野趣溢れる野天風呂だ。
いつか本沢温泉に泊まった時に是非入ってみたいな。硫黄臭くなるだろうけど。
野天風呂からの帰りに、再びケモノの気配に驚いた!・・・ワンコである。柴犬かな?飼い犬のようだ。
あとから異人さんがやって来て、流暢な日本語で話してきた。少々会話をしていると、このワンコ熊と戦ったことがあるのだと。
顔にキズを負ったが驚異的に回復して、今は立派に登山犬?として生きているとのこと。
ひとりと一匹で、野天風呂に入りにきたのだとか。
そして本沢温泉に戻り、ザックなどを改めて引き締め、いざ下山に向かうのだった。
この直後、最もビクッ!!!となることも知らずに・・・(つづく)
<Canon EOS 6D + EF24-105mm F4
L IS USM>
白砂新道分岐
日本最高所野天風呂(2,150m)
天狗岳山頂でのひととき
振り返れば双耳峰
遥か、御嶽山
根石岳方面は諦め
白砂新道はこんなザレた斜面
からの樹林帯
本沢温泉に到着
凍った小川
ワンコ!