涸沢ヒュッテに着いたのは11時20分だった。
ヒュッテの売店でランチをしたかったので、ちょうど良いお昼時か。
いや、早朝から行動してるだけに、山の時間では遅いランチってとこだろうか。
ヒュッテのテラスには誰もいなく、涸沢独占禁止法があったら間違いなくお縄ちょうだい状態。
そんな贅沢過ぎるテラスでラーメンを頂いた。
これだけ人が居ないと、テラスのパノラマ売店は閉まっており、中の受付で注文してからテラスへ運び上げた。
雪渓歩きをしていた時から空腹だったが、そのハングリー精神でここ涸沢まで歩いて来れたようなもの。
まずスープを飲むと、想像よりも美味しかった。化学調味料と塩分が脳とカラダに沁みわたる。
一気にかき込みたい衝動を抑え、ゆっくりと時間をかけて、目の前の壮観な絶景をトッピングに
1,000円のラーメンを一滴残らず味わった。
さて、ついでにおやつも食べてしまおう。コンビニで買ってきておいた
カールをね。
気圧差と期待に膨れ上がった袋をパッキングして、ここまで上がって来るのも楽じゃなかった。
そして人のいない涸沢の谷に、激しい開封音がこだまする。
ここは涸沢圏谷、氷河により削られたカール地形。そこで頂く
明治のカール・チーズ味は、格別に美味しかった。
涸沢と言う、おらが村のカールおじさんになった気分だった。
すっかりジャンキーでケミカルな旨味と、スノーウィーでナチュラルな自然に癒され、気づくと1時間以上も
ヒュッテに長居してしまっていた。
このまま当初の予定通り、ヒュッテに泊まってしまうのもありかもねと、自分の中の悪魔がささやく。
いやでも、稜線まで上がった方が景色が良いんだからと、自分の中の天使が悪魔の提案を却下した。
あとから来た年配者(このあとほぼ一緒に行動することになる方)が、アイゼンを装着し準備をしている自分に
「登るならピッケルとグローブもした方がいいですよ」とアドバイスしてくれた。
ヘルメットも装着しているし、ピッケルを突いて行くつもりでいたが、気温も上がってきているしグローブまでとは
思っていなかった。のちにそのアドバイスの意味を知ることになるのだが・・・。
12時30分。涸沢のテント場を横切って、白が高く聳え立つ世界に足を踏み入れる。
奥穂高の岩壁からは、雪が滝となって崩れ落ちる轟音が鳴り響いていた。(つづく)
<Canon EOS 6D + EF24-105mm F4
L IS USM>
涸沢ラーメン
涸沢カール
誰もいないじゃないかっ!?
ラーメン発注
こんな景色をトッピングしたら、美味しくない訳がないじゃないですか!
どんぶりに顔を突っ込んで
6月の豪雪地帯
轟音と崩落