歩き出したのは9時15分。道も何もない雪原。広いトレースは付いていた。
最初に目指す一ノ越山荘が見えていたので、歩いてゆく方向はわかった。
夏道ではあり得ない最短距離で向かっている。
所々雪崩のデブリが積もっていて、その上を歩いてゆくポイントもあった。
雪質はザラメで取り敢えずノーアイゼンで歩いていたが、アイゼンやスパイク的な物があった方が
グリップが効いたかも知れない。スノーシューでも歩き易いと思った。
実際スノーシューの足跡もあったので、先行者が履いていたのだろう。
今回の目的は雪の立山を登るというのもあったが、白い雷鳥さんにも会いたかった。
一ノ越への登りでも、あの独特な鳴き声(表現が難しい)がそこかしこから聞こえていた。
これはじきに会えるだろう!
上と下から春の太陽にジリジリと照らされ、肌が焼かれている感覚がする。
山荘直下の急登に、額から汗が滲み出す。
相変わらずの無風晴れ男をその時は恨んだ。風よ吹いて汗を乾かしてくれ!
そして室堂から直行すること1時間弱、10時10分に一ノ越山荘到着。
細かく忘れてしまったが10年以上前に、某バラエティ番組の登山企画のロケで山頂アタック隊を任された時に
タレント陣から先行して、この一ノ越山荘に泊まったことがあるのだが、山頂アタック日に天候が崩れ
ロケ続行不可能と判断され、雄山を目指さず撤退した過去がある。
それ以来の一ノ越山荘であった。
その時の景色なんて覚えていない程だが、天候不順ってことだったから景色も無かったのだろう。
今改めてここへ来てみて、富山側も長野側も素晴らしい景色が望めている感動に浸った。
雪に覆われた室堂平、裏銀座の向こうには槍ヶ岳、穂高連峰が見えている。
しばしその世界に抱かれながら行動食を摂り休憩した。
そして雄山を目指すためアイゼンを装着するのだった。(つづく)
<Canon EOS 6D + EF24-105mm F4L IS USM>
一ノ越山荘
一ノ越方面は右へ
一ノ越まで真っ直ぐ最短距離で
そこらじゅうに雪崩跡
ザラメ
山荘直下の急登に汗がにじむ
一ノ越到着
室堂を振り返る
長野側