町を散策しはじめてすぐに、港に存在感ありありの大きな石灯籠が見えた。
近くへ行ってみると、レトロでおしゃれな鞆の浦カフェの前にそれはあった。常夜燈のようだ。
調べてみると江戸時代からある常夜燈のようで、他にも雁木、波止場、焚場、船番所という港のものが今でもあって
全て現存しているのは全国の港湾でも、ここ鞆港だけのようだ。
ついでに街路も江戸中期からまったく変わっていないという、時代に取り残されたと言ったら語弊があるけど、
昔のまんまのようで江戸時代はおろか、万葉集にも詠まれていたり、あの!魏志倭人伝にも綴られているとか。
日本の原風景のような街並でとても居心地が良い気がするのは、DNAに刻まれた日本人の証しか。
坂本龍馬も縁がある土地のようで、長崎から大坂に向かう海援隊の「いろは丸」と、紀州の軍艦「明光丸」が付近で衝突して、鞆港に曳航中いろは丸が沈没して、日本初の海難審判事故に発展したみたい。
紆余曲折あって、結局紀州藩が土佐藩に今の価値にして数十億円の賠償をすることで折れ、長崎で支払われたわずか8日後に、
龍馬は京都で暗殺されたという歴史。
そんな歴史ある街路を歩いていると、狭い路地に生活感漂う路地。車の往き交う道端では、おばあちゃんが海産物を売っている。
井戸端会議などもちらほらと窺えるが、このほのぼのとした風景も何時まで見られるだろう。
超高齢化が目立つ限界集落の行く末は?と思うと、消えて欲しくない光景だ。
いつまでも道端でおばあちゃんがイカの一夜干しを売っていて欲しい。
そんな光景や雰囲気が、宮崎監督の琴線に触れたのだろう。
他にも映画のロケが盛んに行われているそうで、売店のおばちゃんが「この前、ヒュージャックマンが来てたよ」と言っていた。
「ウルヴァリンSUMURAI」のロケで来てたんだろう。常夜燈の前で撮影してたそうですよ。
あと、良く目にしたのが「保命酒」の看板。昔ながらの造り酒屋もあったり、歴史的重要文化財もあった。
お土産に瀬戸内の養命酒こと保命酒をひとつ、小ちゃいの買ってきた。養命酒を飲んだことないから
比べられないけど、漢方のお酒って感じ。ちょっと甘ったるくて、なんとも独特の風合い。
養命酒は徳川家康に献上されたことがあるので江戸初期からあったようで、保命酒も同じ頃から製造販売してたみたいだね。
でも養命酒は医薬品扱いで、保命酒はそうではないようです。
最後に、かつての鞆城址、今では歴史民俗資料館のある高台に登ってきた。
暮れなずむ鞆の町が何とも言えない光景を放っている。しばらくぼぉ〜っと瀬戸内の海を眺めていたのだった。
<Canon EOS 6D + EF24-105mm F4
L IS USM>