北穂高小屋は、標高3,100mの地点にある山小屋だ。別格の富士山ではそれ以上の山小屋はたくさんあれるけれど
それを除けば最高所で、北アルプスで一番高いところにある山小屋だ。
何年も前からここに泊まってみたかった。そしてそこから憧れの大キレットを見下ろすのが何よりも夢だった。
そしてその夢(地獄)の架け橋とも言える大キレットに手が届くチャンスを得た。
ひと晩ゆっくり考えよう。恐怖を拭えなかったら、そのまま涸沢へ尻尾を巻いて下るのもいいのだ。
後日、小屋の
ホームページを覗くと予約が必要とされていたが、迷惑にも予約なしでチェックインしてしまった。
そんな中、快く受け入れてくれた小屋のスタッフには感謝せざるを得ない。この日の宿泊者は20名程だったと言う。
チェックインを済ませ、3階の「第二尾根」と言われる2段式の1階部分の暗い寝床に案内された。
夕食まで小1時間あったので、身軽にして再度山頂に上がる。
改めて眺める景色に、ただただ言葉もない。西日で片明かりになった大キレットは息を飲む絶景。
360度見渡せば、陰影のコントラストが際立って、立体感ある美しい表情を見せてくれた。
17時45分、待望の小屋飯タイム。
イワツメクサをモチーフにした北穂高小屋のマークがそれぞれデザインされた皿には、豚肉が大きく配置されていた。
そして標高3,100mで生野菜が摂れるありがたさ。小屋番スタッフの皆さんに感謝。
水やお湯、お茶も無料で分けてもらえ、そのサービスと手際の良さが目立つ山小屋だった。
食後はお待ちかねのサンセットタイム。この日の日没は19時を少し回った頃。
みんな北穂の山頂に集まってきて夕陽を眺めている。アーベントロートに照らされた顔たちには、それまでの疲れなど
風とともに吹き飛んでいったような表情が浮かんでいる。
シルエットになった北アルプスの峰々と、赤く棚引く雲の筋。夜へと変貌する空の色もまた良い。
沈みゆく太陽に照らされたのは、遥か日本海の水平線だろうか。
ダウンを着込んでいないと居られない真夏の夜のアルプスのはじまり。
消灯は21時だが、その前に天体観察を堪能しよう。幸いにも月のない夜だった。
残念ながら三脚を持ち合わせていないので、せっかくの一眼レフと明るいレンズもあまり役には立たなかったが
天の川を観察するには肉眼のみで足りていた。まさに銀河の夜である。
これらの星屑をスローシャッターで綺麗に捉えられれば、さぞ素敵なことだっただろう。
そして消灯を待たずに眠りに落ちたのであった。(つづく)
<Canon EOS 6D>
EF35mm F1.4L USM
北穂山頂から見下ろす大キレット
EF24-105mm F4L IS USM北穂高小屋の夕食
北穂高小屋にチェックイン
北穂TシャツGET〜
第二尾根の〜
下の段は肉眼では相当暗い・・・
再び山頂に戻って景色を堪能
表銀座方面
大キレット
飛騨泣き〜長谷川ピーク辺り
北穂高岳南峰
あそこは行けるの??
滝谷の荒々しい岩稜
雲の要塞
EF70-300mm F4.5-5.6 DO IS USM
後立山連峰
常念小屋が見える
前穂のピーク
槍様〜
涸沢のテント村
土曜にしては空いてそうだった
EF24-105mm F4L IS USM
影北穂
斜光の大キレット
アーベントロートを浴びるパイセン
次第にアルプスがシルエットに
サンセット
EF35mm F1.4
L USM