宝剣岳の山頂に立った我々に選択が迫られる。
このまま極楽平方面へ縦走をつづけるか、はたまた乗越浄土に戻るか。
戻っても長い鎖場を下らなければならないし、行ったら鎖場のアップダウンの連続で危険は多い。
隊員の調子を窺いながらも少し悩んだが、このまま先を目指すことにした。
宝剣岳では他の登山客に聞かれることもあった。行くべきか戻るべきかと。それぞれのリスクや愉しさを率直に述べて委ねた。
あとは自己責任の世界だから。
先へ進むことを決め宝剣岳からまずは下る。ガスって高度感はないものの、鎖もない急で危険な下りが待ち受けている。
高所恐怖症には堪ったものじゃないだろうが、三点支持のさらなる徹底や、岩にザックを当てて体勢が崩れる危険を注意した。
少し下ると名所が現れる。日本版トロルの舌と言われる岩が突き出た写真的にも映えるスポットだ。
本場ノルウェーとは規模が違い過ぎるが、ここでの記念写真は必須だと思う。
ガスで下界の景色が映せないので全然映えないが、記念に撮っておこう。
写真を撮っていると反対側から来たソロ女性に自分を撮って欲しいとせがまれ、iPhoneだと言うのでAirDropの設定をしてあげて
自分のiPhoneで撮影したものをAirDropで女性のiPhoneに転送した。
熊本から弾丸で来たと言う女性だったが大変喜んでいた。前にも宝剣岳で経験があるが、ソロ登山者にとってエアドロは大変有効な手段だ。
さらに危険箇所がつづきにつづく。
恐怖に足が震える者、若干体力的に厳しくなって余裕がなくなっていく者、岩を掴んでの全身を使った岩稜歩きに悦びを覚える者。
岩と鎖や鉄杭に夢中になって進んでゆく。自分の手で岩を掴み、自分の力で突き進んでゆく。
そんな愉しい?時間も1時間とかからない。個人的には大キレットのようにもっと愉しみたいのだが、初心者にはこれくらいが良いだろう。
最後は平坦なアルプス的稜線を歩いて、14時30分極楽平に到着した。
やはり体力のない20代隊員がヘバっている。彼をこのルートに連れて来たことに反省をしているが頑張っていた。
人生でこんな経験をしたことはないだろう。彼も私を恨んではいなかった。それよりもさらに体力を上げて困難を克服したい気持ちの方が
上回っているようで、この後しっかりした登山靴を買っていたほど。
あとは千畳敷に向けて、普通の登山道を下ってゆくだけだ。しかし体力と膝や腰の痛みから、その彼がただでは済まないのであったが・・・
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トロルの舌
鎖場の連続
宝剣岳直下
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極楽平